歯周病とタバコの深い関係
~知らないうちに進行するお口のリスク~
「歯ぐきから血が出る」「口臭が気になる」「歯がグラグラする」──これらの症状、もしかすると歯周病のサインかもしれません。実は、歯周病は日本人の成人の約8割が罹患しているとも言われる、非常に身近な病気です。しかも、その進行を加速させる大きな要因の一つが“喫煙”です。今回は、歯周病とタバコの関係について詳しくお話しします。

歯周病とは?
歯周病は、歯を支える骨や歯ぐき(歯周組織)が細菌によって炎症を起こし、やがて歯を失ってしまうこともある病気です。歯と歯ぐきの隙間(歯周ポケット)に歯垢や歯石がたまり、そこに棲みつく細菌が毒素を出すことで炎症が進行します。
タバコが歯周病に及ぼす影響
タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素などの有害物質は、歯周病のリスクを大きく高めます。その主な影響は以下の通りです。
1. 血流の悪化
ニコチンには血管を収縮させる作用があり、歯ぐきの血流を悪くします。これにより酸素や栄養が届きにくくなり、歯ぐきの健康が保たれにくくなります。
2. 免疫力の低下
喫煙者は白血球の働きが弱まり、細菌に対する抵抗力が低下します。その結果、歯周病菌に対抗できず、症状が悪化しやすくなります。
3. 自覚症状が出にくい
タバコを吸っていると、歯ぐきの炎症があっても腫れや出血などの症状が現れにくくなります。そのため、歯周病が気づかないうちに進行してしまうのです。
4. 治療効果の低下
喫煙者は歯周病の治療を受けても、非喫煙者に比べて効果が出にくく、治りが遅い傾向があります。また、インプラント治療の成功率も下がることが知られています。
禁煙がもたらすお口の健康
タバコをやめることで、歯ぐきの血流が改善され、炎症の回復も早まります。また、歯周病の予防や治療の効果も高まり、将来的に歯を失うリスクを減らすことができます。禁煙は、歯や歯ぐきだけでなく、全身の健康にも良い影響をもたらします。

最後に
歯周病は静かに進行する病気です。そしてタバコは、その静かな進行を一層加速させる危険因子です。毎日の歯磨きや定期的な歯科受診とともに、禁煙を意識することは、健康な口元を守る大きな一歩になります。喫煙習慣がある方は、ぜひ一度、歯科医院で歯ぐきの状態をチェックしてみてください。